私が中学生のころ、父が病で倒れ亡くなりました。そのときに病院で出会った看護師に憧れ、白衣の天使を志すようになった私。
高校を出て関東にある大学病院附属の看護学校に合格し、初めてのひとり暮らしを始めました。初めて地元大阪を離れての生活は、とても新鮮でしたが、勉強は思った以上に大変でした。実習や国家試験の準備も何とか乗り切り、国家試験にも合格しました。
進路は、何も考えずにそのまま附属の大学病院へ。晴れて夢にまで見た看護師になったのです!
大学病院では、外科系の病棟の配属になりました。右も左も分からず、おっかなびっくりの私を、はじめは先輩ナースがプリセプターとして指導してくれました。誰もが通る新米ナースの道を歩んだわけですが、その道は私にとっては厳しかった。
もともと看護学校で理論は学んできたし、実習でも現場で実習をこなしてきたわけですが、実際にナースとして臨床現場に立つと、なかなかひとり立ちできない。泣きたいときや、時には逃げたいときもありました。半年も経てば、なかなか先輩にも聞きずらくなり、先輩ももうかまってられず教えてくれなくなる。もともと、苦手な感じの方だったので、甘えることもできなかった。
もともと、のんびり屋タイプの私には、テンポの速い外科系病棟は合わないのではないかとも思い始めていました。残業が多くなり、看護研究などで、休みもとれない毎日が続きました。そんな中、一年目の年が明けたころ、妊娠していることが分かったのです。
まさか妊娠なんて思いもよりませんでした。相手は、学生の時に出会った彼。お互い忙しくてろくにデートもできないのに、できてしまった小さな命。
生むべきか迷いました。もちろん子供を持つ憧れもありました。でも、どこかに今の職場、今の生活から逃げたいという意識があったのかも知れません。大学病院で、若干自信を失いかけていた私に、現場から逃避できる理由を与えてしまったのです。彼は、結婚も約束してくれました。資格があるのだから、ナースはいつでもできると思いもあったのです。